最終更新日 2024年10月18日 by rauhan
・正式な名称ではなく症状の広い範囲を包括する言葉
人前に出ると緊張をして上手に喋れなくなるというのがあがり症の代表的な症例ではありますが、こうした状態というものは特に「症状」とは言えないほど誰にでもおこりうるものであり、誰しもが一度は経験したことがあるのではないかと思われます。
あえて「あがり症」と分類される方々の場合は滑舌が悪くなるといったものではすまず、立ちくらみや目まいを起こすほどの緊張状態に陥ったり、過呼吸や低呼吸、異常なほどの発汗による急性の脱水症状のほか、失禁や意識喪失といったさまざまな自律神経の異常による行動や症状が現れます。
この緊張状態を引き起こすキーは人それぞれであります。
人が多い所にて発症する対人恐怖症の他、たとえ相手がひとりでも会話そのものが苦手であり、吃音や多様な症状がでてしまう対話恐怖症、電話での会話などにトラウマがあり電話の呼び出し音を聞くだけで過度の緊張状態になる電話恐怖症などさまざまです。
多くの場合は現在、パニック障害、もしくは症候群としてくくられる場合もありますが、対人恐怖症の原因は述べたように多岐にわたっているために、治療なども人それぞれ個々の対応が必要となります。
あがり症・対人恐怖症・パニック障害とだいたいこの3つで簡単にくくられてしまう事が多いのですが、その亜種も多い事から治療が難しい心身症になります。
・あがり症の克服は可能であるか?
「あがり症」の治療は投薬治療なども行われますが、それのみで完治することはありません。
そもそもあがり症というのものは誰にでも起こりうる感情の起伏が自律神経に影響を及ぼすことで出る症状です。
それが大きく体の負荷になるほど出る人のみが「症状」として自覚するもので、実は誰の身体の上にも起こっているのです。
結論からいうと完治というものがそもそもない症状でありまして、症状の発症を小さく緩和する「克服」をする類のものになります。
つまりあがり症の治療にとって一番大切なのは「慣れる」ということです。
不慣れさ故におこる過度の緊張状態を「慣れ」により緩和しストレスとして感じなくなるまで続けるといった訓練や、トラウマのような発生の心意的なキーを自分の心の中で上手に咀嚼して救い上げることにより、あがり症そのものがでないようにするのが治療であり克服方法の基本になるのです。
そのため、薬などを使う事もありますが、場合によっては薬そのものがパニック障害のキーや悪化につながることもあるため、専門医によるしっかりとしたカウンセリングのもとに克服を行う事をオススメいたします。
あがり症は治る病気か?そして治療法とは?
・あがり症は薬で完治する病気ではありません
あがり症に分類されるさまざまな対人恐怖症やパニック障害の治療には、基本的に医師とのカウンセリングで行う心理療法が用いられます。
抗うつ剤などによる投薬治療法も一部ありますが、急を要するときや心理治療がどうしても受けられない場合の一時的な処方としてのみにしか用いられません。
そもそもあがり症という症例は「心の持ち方」によって発症し、同じく克服治療ができる病気であり、投薬による一時的な不安感の霧散はかえって完治を先送りするだけの決して賢い方法ではないということがハッキリしている心の病気だからです。
代表的な心理治療法としてはあえて負荷になる状況に自分を置き不安に立ち向かう練習をして負荷に慣れさせていくという、「認知行動療法」が主に用いられております。
これはショック療法に近いもので負荷のかかる状況に自分をあえておき、問題がなかったときは自分の力で耐え抜いたという免疫と自信を養っていくものです。
当然ながらその克服過程においては苦痛を伴うでしょうから、心の負担も大きいものになりますが、最大で4カ月ほどで克服可能であり、一度こうした治療で培った自信は症状が再発した際にもその克服にも役立つために投薬治療よりも有効な手段とされております。
・一度克服できれば再発しても大丈夫
一度克服したあがり症なども再度同じような失敗やトラウマを心に持ってしまうと、以前と同じ症状が再発する可能性もあります。
克服したハズなのに・・というショックから以前よりも症状が悪化する場合もありますが、やはりあくまでもあがり症やパニック症というものは、自分の心意的な部分から発症している体の異常であるために、心の持ち方をもう一度見直してみることで再度の克服も可能です。
その際は前回の克服の経験は自信になっている事が多く、幾分か心理的な負担が少なくて済む傾向が見られます。
あがり症やパニック症になると「どうして私だけが・・」とつい思いがちになりますが、あがり症は誰にでも感じることのできる心神的な症状というよりは心の表情のようなものになります。
鬱などをよく「心の風邪」と例える場合もありますが、あがり症やパニック症もこれらと同様に、ちょっとした心の持ち方のズレが体調に現れる類のモノなのです。
慌てず・焦らず自分を見つめ直して治療をすることで克服すると心身ともに以前よりも強くなっていくことができるようになるのも、こうした病気の治療後の特徴です。
参考文献:
あがり症(緊張症)相談室 -克服のための正しいステップ